子宮・卵巣の良性腫瘍
子宮・卵巣の良性腫瘍

子宮筋腫は、女性の子宮にできる良性の腫瘍で、子宮の筋肉である平滑筋から発生します。一般的に「腫瘍」という言葉を聞くと悪性の「がん」を連想されるかもしれませんが、子宮筋腫は良性のものであり、命に関わる心配はほとんどありません。
女性ホルモンであるエストロゲンの働きによって、少しずつ成長していく傾向があり、特に、エストロゲンの分泌が活発な30代後半から40代の女性に多く見られます。一方、閉経を迎えるとホルモン分泌が減少するため、それに伴って筋腫が自然と縮小するケースもあります。
気になる症状があれば我慢せず、婦人科を受診することが、早期発見・早期対応への第一歩となります。
子宮筋腫の原因は明確には解明されていませんが、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが筋腫の発症や成長に大きく関与していると考えられています。また、遺伝的な素因やホルモンバランスの変化、初潮の時期、妊娠や出産の経験の有無など、複数の要因が関わっているとされています。
このような症状が続いている方は、子宮筋腫の可能性も考えられます。気になることがあれば、早めに婦人科で相談してみましょう。
子宮筋腫の診断には、主に以下のような検査を行います。
医師が膣から指を入れて子宮の大きさや形、表面の凹凸、可動性などを確認します。子宮筋腫が大きい場合は、触診でしこりを感じることがあります。
超音波プローブを膣内に挿入し、子宮や卵巣の状態を詳しく観察します。筋腫の位置や大きさ、数などを把握するのに有効です。
筋腫の正確な位置、数、大きさをより詳細に評価でき、他の婦人科疾患(子宮腺筋症など)との鑑別にも役立ちます。手術前の詳細な診断にも用いられます。
貧血の有無や重症度を確認するほか、ホルモンのバランスを調べるためにも行われます。
これらの検査結果と、患者様の症状やライフステージ(妊娠希望の有無など)を踏まえて、治療の必要性や方針を判断していきます。
子宮筋腫の治療は、すべての方に必要なわけではありません。筋腫の大きさや場所、症状の有無によって対応が異なります。たとえば、症状がまったくなく、小さな筋腫であれば、すぐに治療を行わず定期的に様子を見る「経過観察」が選択されることも多くあります。
治療が必要な場合には、以下のような選択肢があります。
将来的に妊娠を希望しない場合や、筋腫が多発している・再発を繰り返しているなどの理由から根本的な治療を希望される方に選ばれる手術です。子宮全体を取り除くため、再発の心配がなくなる一方で、妊娠はできなくなります。子宮は赤ちゃんを育てるお部屋の役割のみであり、摘出してもホルモンバランスが崩れる心配はありません。手術方法や術後の生活への影響については、事前に医師としっかり相談することが大切です。
妊娠や出産を希望する方に選ばれることが多い手術で、子宮は残したまま、筋腫のみを摘出します。筋腫の位置や大きさ、数によっては腹腔鏡下手術や開腹手術が選択されることがあり、手術の難易度や術後の回復期間は症例により異なります。妊娠を希望する方は、将来の妊娠に与える影響についても医師としっかり相談することが大切です。
ホルモンの分泌を一時的に抑えることで、筋腫の縮小を目指す治療法です。GnRHアゴニスト/アンタゴニストと呼ばれる注射薬/内服薬を用いて人工的に閉経状態をつくり、エストロゲンの分泌を抑制します。それにより、筋腫のサイズが小さくなり、症状の改善が期待されます。ただし、この治療法は閉経と似た状態を引き起こすため、ほてり・発汗・気分の変化といった更年期症状に似た副作用が現れることがあります。また、長期間の使用で骨密度が低下するリスクがあるため、通常は数ヶ月程度の期間に限定して行われます。使用後に月経が再開すると、筋腫が再び大きくなる可能性がある点にも留意が必要です。
そのほか、症状の程度や患者様の年齢、妊娠希望の有無、筋腫の大きさや数などを総合的に判断し、最適な治療法を選択していきます。
子宮筋腫は多くの女性にみられる良性の腫瘍です。症状が軽い場合は特に心配いりませんが、日常生活に支障が出るような症状があるときは、早めに婦人科を受診することが大切です。「これって年齢のせい?」「生理が重いのは体質?」と思っている症状が、実は子宮筋腫が原因だったということも少なくありません。定期的な健診と、自分の体の変化への気づきが早期発見につながります。不安なことがあれば、ひとりで抱え込まず、気軽にご相談ください。
卵巣は、子宮の左右に一つずつある小さな臓器で、女性ホルモンを分泌したり、排卵をコントロールしたりと、女性の健康と妊娠にとって重要な役割を果たしています。この卵巣にできる腫瘍を「卵巣腫瘍」といい、その中でも液体がたまって袋状になったものを「卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)」と呼びます。
卵巣腫瘍には「良性」と「悪性」があり、それぞれの特徴や進行の程度によって治療方針が異なります。初期には自覚症状が乏しく、健康診断や婦人科の超音波検査で偶然見つかることも少なくありません。ただし、腫瘍が大きくなるとお腹の張りや下腹部の痛み、圧迫感などの症状が現れることがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。
また、腫瘍が破裂したり、茎捻転(けいねんてん)といって腫瘍が根元からねじれて血流が遮断されたりすると、突然激しい下腹部痛や吐き気、冷や汗を伴う急な体調不良を引き起こすことがあります。これらは緊急手術が必要となる場合もあるため、注意が必要です。
卵巣腫瘍のはっきりとした原因は明確にはわかっていませんが、加齢、排卵の繰り返し、遺伝的要因などが関与していると考えられています。
また、腫瘍の種類によって発生の背景が異なることもあります。たとえば「チョコレート嚢腫」は子宮内膜症に伴って発生するもので、生理のたびに出血した血液が卵巣内にたまることで形成されます。
これらの症状は、卵巣腫瘍を含むいくつかの婦人科疾患で見られることがあります。自己判断せず、婦人科での診察を受けて原因を確かめることが大切です。
卵巣腫瘍の診断には、以下のような検査が行われます。
お腹の張りや圧痛の有無、腫瘍の有無や大きさの感触、月経の状況や過去の婦人科疾患などについて詳しく確認します。
腫瘍の大きさや形、内部の構造(液体か固形か、混合性か)を確認します。簡便かつ非侵襲的に行える検査で、初期診断の重要な手がかりになります。
腫瘍の大きさや広がり、内部の構造をより詳しく確認するための画像検査です。良性か悪性かの判断材料となり、手術の計画や方針を立てる際にも重要な情報を提供します。
CA125などの血中の数値を測定し、卵巣がんの可能性や経過観察の目安として活用されます。ただし、良性の疾患でも上昇することがあるため、あくまで他の検査と併せた参考情報として用いられます。
これらを総合的に判断して、治療方針が決定されます。
卵巣腫瘍はお腹の中にある臓器のため、子宮がんと異なり生検ができません。
そのため、超音波やMRIの画像所見、腫瘍マーカーで良悪性を推測し、悪性が疑われる所見であれば手術を行います。しかし、術前に良性と判断し手術をして、術後の病理組織検査で悪性と診断されることがあります(1%未満)。
上記の通り、卵巣腫瘍は摘出しないと最終的な良悪性は確定しませんが、術前にある程度推測をして治療方針を決定します。
小さなサイズ(4㎝以下)のものは経過観察をします。5㎝以上のものは茎捻転や腫瘍破裂などの強い腹痛の原因となることがあるため、手術を考慮します。一般的には腹腔鏡手術で行いますが、腫瘍が巨大な場合や過去の手術などでお腹の中にひどい癒着が予測される場合には開腹手術が選択されます。
腫瘍の拡がりによっては、卵巣や子宮、リンパ節を含めた広範囲の摘出が必要になることがあります。また、手術後には抗がん剤を用いた化学療法が必要となるケースもあります。
卵巣腫瘍は、早期には症状が乏しく、知らず知らずのうちに進行することがあります。大きくなってからでは治療が複雑になることもあるため、早期発見がとても大切です。
「何となくお腹が張る」「下腹部に違和感がある」といった小さなサインも、体からの大切なメッセージかもしれません。気になる症状があれば、一度受診をおすすめします。
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